今回はカリモク家具のミニチュアをきっかけに、植毛加工について掘り下げてみました。”素材・加工辞典”としてシリーズでやっていこうと思います。
最初この画像を見たときは何も思いませんでした。
「あ〜、カリモク60ね、知ってる知ってる」
…
…500¥!?
あまりにもリアルで、ミニチュアだと気づきませんでした。
すごいですね、最近の玩具雑貨は。この革張りの質感や木の風合い…
中でも一番リアルなのはこれ。
最近は植毛加工なんかもやっているんですね。
この手の玩具は人が絵筆を使って手作業で塗装しているイメージしかなかったので、思わず騙されてしまいました。
色々と画像を見ているうちに、だんだん植毛のことが気になってきました。
こういう加工があるのを識ってはいるけれど、実際のところどうやっているのか、実はよく知りませんでした。
自信をもって「知っている!」と言えるようになるため、改めて調べてみました。
植毛にも色々方法がありました。
植毛加工は別名フロック加工、フロッキー加工とも言われています。
基本は基材に接着剤で短い繊維(パイルやフロックと呼ばれる)を接着するという、当たり前な説明になってしまうのですが、
仮にDIYしてみることを想像すると、接着剤で毛がペッタリ貼りついたようになりそうな気もします。
どうやってフサフサ毛羽立った質感にしているのでしょう?
静電植毛
立体物への植毛には大きくわけて静電気による加工と塗装によるものがあります。
静電気による植毛は、基材に高電圧をかけて静電気で繊維を付着させる方法です。
静電植毛については、こちらが詳しいです。
こちらの会社はシート状のものの加工専門ですが、成形品でも基本は同じです。
繊維が帯電することによってうまい具合に毛羽立った状態で付着させているそうです。
植毛塗装
繊維を吹き付けて基材に接着するというアナログな方法もあります。
植毛塗装機さえあれば大した設備も不要で、意外とDIY感覚でできてしまうんですね。自動車の改造に大活躍しているようです。
フロッキー塗装と呼ばれる植毛塗装に挑戦!!180sxの穴だらけ、ヒビ割れ、色あせたダッシュボードが高級車のような仕上がり!!費用は4万円で大満足!!@富山のLEVEL9|Street Chic
小ロット品や大きなものには塗装が向いていて、大量生産や比較的小さなものは静電植毛が向いているようです。
しかしそれはあくまで一般論といいますか、人件費の安い海外で生産する場合は、大量生産でも塗装のほうが安い場合もありそうです。
印刷による植毛
印刷技術を用いて生地などに柄などの加工を施す場合はフロッキープリントと呼ばれています。
こちらはさらに多彩です。静電気による加工の他、シートに載せた繊維をホットスタンプで転写する、転写フロッキープリントという方法もあります。
さらに、グラデーション、多色加工などもできるそうです。
小ロットでも加工可能で、接着剤次第ですが、基本的にはどんな素材でも加工できるというのも魅力的ですね。
ちなみに
カリモク60のミニチュアを販売しているのは株式会社ケンエレファントというところです。