FAR EAST GADGET MAGAZINE

プロダクトデザイナーによるコンセプチュアルなプロダクトデザインを紹介するメディア

柔らかい棚
デザイン探訪 プロダクト

ナンセンスすぎる”やわらか”家具 意外といいかも?

うっ…疲れているのかな?視界が歪んで見える〜…
歪んでいるのは家具のほうでした。
ダリの絵でも見ているかのようです。
今回はゆるゆるナンセンス、だけど意外と実用的かも!?な柔らか家具のご紹介です。

柔らかい素材でできた食器棚
”フォームラバー”でできているたわんたわんの食器棚

これはStudio Dewi van de Klompがデザインした、フォームラバーのみで製作された棚です。
フォームラバーとはざっくり言えば発泡したゴムです。非常に身近な素材ですね。
でもこんな使い方してるのは見たことないですね…。
シャキッと立っている普通の家具とは対照的に、ゆるく、だるそうに、壁にもたれて、なんとか立っています。
まるで真面目に働いている他の家具を皮肉っているかのような不遜な態度です。

素材を変えてみたら?→新しいアイディアに

もちろんこれはコンセプトデザインであり、実用を考えたものではありません。
しかし、実用性の代わりに深い示唆を与えてくれるデザインです。
発想法と呼ばれる方法論の中には「素材を変えてみたら?」というものがありますが、これはその典型的な例といえるでしょう。
素材を変えてみるという一点だけで、こんなに面白いことが起こるんですね。
改めて、家具は支えるのもひとつの重要な機能なのだなと教えてくれる、いわば「反面教師」なデザインと言えます。

柔らかい素材でできた本棚
本棚はもっとひどい!

意外と実用的?防災家具の可能性


ユニークな点がもうひとつあります。
棚の中の物を挟んで固定している点です。
防災について考えると、緩衝材であらかじめ包まれているというのはひとつの解になりうるのではないかと想像が膨らみます。
新しい家具デザインの可能性をこじ開けたダークホースと言えましょう。
いや、このままじゃダメですけどね。もちろん。
…。

柔らかい素材でできた食器棚
立っているのがやっと、のようです。倒して食器を割らないかソワソワしてしまいます。

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愛知名古屋で活動するプロダクトデザイナー。家電、スーツケース、蛇口、コンピュータ周辺機器、クレーンなど幅広い分野を経験。